合格体験記

エピローグ〜そして合格へ〜

2024年1月31日

今日は中小企業診断士試験の合格発表。

とは言っても、2次筆記試験の合格発表ほど全身が強張るほどの緊張感は無く、適度な緊張感だ。

なにせ2次筆記合格後の口述試験は、99.6%で受かるのだ。

故に喋れば大丈夫、受かると現役診断士の方は言う。

そして実際の口述試験でも一通り喋ることは出来たはず。

それでも不安は不安である。

0.4%だ。0%じゃないんだ。

250人に1人は落ちるのか。

こんな時だけ数字が苦手なのに、余計な計算をするもんだ。

10時になり、中小企業診断協会のHPへアクセスする。

どうやらまだ合格発表はされてないようだ。

定期的な更新連打。

まだか、まだか、はよ、はよ、早く楽になりたい。

診断士試験の勉強を始めてから1年、1次試験合格から5ヶ月、2次筆記試験受験日から3ヶ月、長いようで短かった挑戦の日々が今終わりを迎えようとしている。

そして合格者がHPにアップされた。

2次筆記発表時ほどの緊張や手の震えはない。

落ち着いて画面をスクロールする。

私の受験番号は3234。

何度もスクロールする。

そしてあと1スクロールで合格なら番号がある位置まで辿り着く。

「さあ、こい!」

「あった。合格だ...。」

1次と2次筆記の合格の際は、絶叫と共に号泣だった。

今回は喜びより安堵感が勝り、涙は静かにこぼれ落ちた。

「終わった、終わったんだ...。」

適応障害から無職となり、意を決して望んだ中小企業診断士試験。

その挑戦は結果的には成功した。

何者でも無くなった者が、また何かになろうと必死だった。

それでも勉強は苦手だし、2次筆記試験は正解も分からないから、何度も諦めかけた。

その度に家族の励ましやX上の診断士界隈の方々のポストに救われた。

一人じゃとても出来なかった。

そして多分適応障害にならず、今も普通に仕事して生活をしていたなら、絶対に私には成し遂げられなかった。

それだけ中小企業診断士試験は過酷な試験だと思う。

7科目というだだっ広い1次試験の科目数に、正解もよく分からない2次筆記試験に、更には口述試験。

だからこそ普通に仕事をしながら合格される方や何度も負けずに挑戦される方は本当に凄い。

それでも、今の仕事や人間関係が辛くて、自分を見失いそうな人も沢山いて、

そんな中自分を取り戻そうと奮闘した私のこの挑戦は、それはそれで貴重な体験談だと思うし、

同じような境遇のどなたかに勇気を与えられればと思う。

「頑張れば夢は叶う。」

「人はいつからでも何者にでもなれる。」

どこかで見聞きしたこのフレーズも、今は本当にそうだと思う。

でもだから勇気を出してやってみようなんて事は言えない。

必要なのは1歩踏み出す勇気と継続力、そして周りへの感謝を忘れない謙虚さだ。

あなたは一人じゃない。

勇気と継続力は周りがきっと与えてくれる。

そして与えてくれた周りの人々へ感謝を伝える。

感謝を伝えることは、ありがとうをいうことだけじゃない。

がむしゃらに何かをしている姿を見せること。

器用でも不器用でも構わない。

勉強ができようができまいが構わない。

ただがむしゃらに打ち込む姿を見せることが、圧倒的感謝だ。

この一年で良かったと思うのが、子供の前で大人が真剣に勉強する姿を見せて、その結果を一喜一憂共に出来たこと。

きっとこの一年は私と子供達に大きな影響を与える一年になるだろう。

合格体験記としてはエンディングを迎える。

ただ人生としては再スタートラインに立てただけだ。

「俺たちの冒険はまだまだ続く」

まるで連載打ち切りの漫画の最終回の状況。

あれもしなきゃ、これもしなきゃ、頭の中は未だにグルグルと思考が駆け巡っている。

ただその思考はネガティブなものではなく、とってもポジティブなもの。

適応障害になった頃とは真逆の思考。

診断士に合格したのはもちろん嬉しいけど、何よりその思考を再度手に入れられたことが私には最大の喜びだ。

勉強は大変だが、時に楽しく、時に支えとなり、人生の最大の贅沢であると思うようになった。

大袈裟ではなく、私の人生は勉強に救われた。

まだまだ私の人生と勉強は続く...。

合格体験記 完

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