はじめに
皆様こんにちは、こんばんは!
ひつじです。
前回からの続き、R5中小企業診断士2次試験の得点開示と再現答案分析③ということで、事例Ⅲの分析をしたいと思います。
R5事例Ⅲについての所感
事例Ⅲは1次試験でいう運営管理を主題とした問題。
なにせ私は今まで介護畑に居たものですから、製造業のことは全く分かりません。
その為、一次試験の運営管理もとっても苦手で、自己採点の結果は49点...。
しかも内2点は、没問による点という、一歩間違えれば、足切りの危険性すらありました。
1次試験運営管理
第5問 循環型社会形成推進基本法における再使用の定義うんちゃらかんちゃら→知らんがな
第17問 設備自動化のための投資案A、B、Cの割引回収うんちゃらかんちゃら→運営管理に投資判断!?
第20問 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律うんちゃらかんちゃら→だから知らんって
とまあ知らないことだらけ&正誤が5個という私にとっては鬼畜のような問題。
今問題を見返してみると、逆に良く足切りにならなかったと褒めてあげたいくらいです。
そんなわけで事例Ⅲに対しても、下手するとラスボスの事例Ⅳより、苦手意識がありました。
事例Ⅳはある程度出題傾向が経営分析、CVP、NPV等決まっている部分もあるので、対策がしやすいのですが(出来るとは言ってない...。)、事例Ⅲはラインや在庫管理等、出題傾向がある程度決まっていても、何が飛び出てくるか分からない恐怖がずっとありました。
しかし過去問を解くにつれ、「あれ、これフレームワークでいけるんじゃない!?」と思い始めてから、少し苦手意識が減りましたが、そうは問屋が卸さない。
当日は頭が真っ白となり、しまいには、最後1分の追い込み時、突然「顧客」の「顧」が書けなくなるという事態。
その苦悩を読み取れる画像がこちら。
これ当日の問題用紙なんですけど、一生懸命「顧」を取り戻そうとしている様子が見て取れます。
「これらから個の時代。個を取り戻せ!!」
ならカッコいいのですが、取り戻そうとしているのは、漢字の「顧」。
しかも結局取り戻せず、「こ客」と書く体たらく...。
がしかし、これで2次試験において、最悪漢字が書けなくても、ひらがなで書けば大丈夫という事が分かりました。
そう、これからの受験生の為に、人柱ならぬひつじ柱にならせていただきました!(笑)
既にこちらの方で得点開示はしておりますが、
この苦手な事例Ⅲで、私ひつじ、なんと奇跡の70点越えをしております!!
YO YO YO!
「顧客」が「こ客」でもOK 採点基準への尊敬
これが証明、まさに天命、診断士になる俺の運命!!
Yeah!!(ラップ調)
とまあくだらないラップを挟みつつ、
兎にも角にも再現答案分析行ってみよう!!(笑)
出題の趣旨と再現答案(事例Ⅲ)
そんなわけで、R52次試験の出題趣旨と再現答案の比較(事例Ⅲ)をやっていきたいと思います。
事例Ⅰはこちら
事例Ⅱはこちら
出題趣旨はこちら
https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/010_c_r05_shiken/R05_2ji_shushi.html
事例Ⅲ
問1 C社の生産面の強みを2つ40字以内で述べよ。
【出題趣旨】C 社の生産面の強みについて、分析する能力を問う問題である。
【ひつじ再現答案】
①現経営者の高級ホテル料理人経験とマネジメント力②多品種少量食品受託製造可能 38文字
本日3回目の強み問題。
沢山の文字列の中に隠されたキーワードを探し出す。
強み=ウォー○ー。
「ウォー○ーを探せ!」見たいなもんです。
がしかし、ウォー○ーを探せ!にも数多くのトラップが存在します。
どれもこれもウォー○ー(強み)に見えるけど、どれが本当のウォー○ー(強み)なんだい!?
更に〜探しの中でも、個人的に難易度が高いと思う、
サイ○リヤのキッズメニューの間違い探し!!
あれ、めちゃめちゃ難しくないですか!?
キッズメニューに載せる難易度では確実にない!
しかも答えも載ってない!!
まるで明確な答えのない2次試験そのものじゃないですか。(サイ○リヤの間違い探しの答えは1ヶ月後にアップされるようです)
で今回のR5年事例Ⅲは食品製造業。
単純に与件文からC社の強みを抜き出すと、
「高級ホテルや高級旅館との取引」
「多品種少量生産 受託製造」
「高級ホテルの料理人を経験し、ホテル調理場の作業内容などのマネジメントに熟知した現経営者」
「部門別組織」
「管理職のホテルや旅館での料理人の経験」
「加工室のゾーニング」
「加工室のレイアウトがホテルや旅館と同様のつくり」
「製品開発部の外部人材」
とこんなにいっぱいある。
うーん、どれを書くべきなのか。
困り果て、悩みの中で時間が刻一刻と進んでいく。
そんな時こそ、初心に戻って、もう一回問題文を見てみると、
「C社の生産面の強みを2つ40字以内で述べよ」
強みを抜き出すことばかり考え、制約条件を忘れてました。
生産面の強みを2つ。
となると、社長や管理職の料理人経験と社長のマネジメント力、多品種少量生産受託製造、加工室のゾーニングやレイアウトあたりになってくる。
ただ加工室のゾーニングやレイアウトって、確かに交差汚染を防げるだろうけど、働く人が少なくなり、受注量の増加の対応に苦慮している状況においては、果たして強みなんだろうか。
こんな時は、役立つフレームワークがあります。
名付けて「ミルクボーイフレームワーク」。
「うちのおかんが、最近食品製造工場で働き始めたんですよ。」
「あっ、そーなんや。」
「そんでね、何やらその食品工場には生産面の強みがあるらしいんですが、忘れたらしくてね。」
「じゃ、その強み一緒に考えてあげるから、どんな特徴ゆうてたか教えてみてよ。」
「何やら加工室が製造班ごとに分離され、ゾーニングされてるらしいんですわ。」
「おー、強みやないかい。交差汚染も防げて、食品衛生管理上バッチリですわ。」
「ただちょっとよく分からへんのやな。」
「何が分からんのよ。」
「いや、俺も強みと思うてんけどな。」
「最近人が少なくなって、増えた受注量に苦慮しているってゆうねんな。」
「あー、ほな強み違うか。人が少なくなっている状態で、部屋が分離されていると、連携できないもんな。」
「そやねんな。」
結果ゾーニングが入れないという判断になりました。(笑)
この考えが単なる深読みか、そしてミルクボーイフレームワークが有効かどうかは、明確な解答のない診断士2次試験においては、未だに謎です(笑)。
問2 C社の製造部では、コロナ禍で受注量が減少した2020年以降の工場稼働の低下による出勤日数調整の影響で、高齢のパート従業員も退職し、最近の増加する受注量の対応に苦慮している。生産面でどのような対策が必要なのか、100文字以内で述べよ。
【出題趣旨】
コロナ禍後の増加する受注量に対応するための C 社生産面の課題を整理し、その対応策について、助言する能力を問う問題である
【ひつじ再現答案】
対応策は①全体生産計画の策定、週次日次化②作業の標準化、マニュアル化、教育による多能工化による柔軟な製造体制構築③製造工程の手作業の一部機械化自動化等を行い、生産性を向上させる。98文字
これぞフレームガッチリはめ込み解答!!
計画策定、期間短縮、標準化、マニュアル化、多能工化、機械化、自動化をてんこ盛り。
海鮮丼に例えるなら、「海の宝石箱やー。」状態。
とはいえ、所々キチンと与件文に沿わすのが重要なので、フレーム覚えて、はめ込み作業すれば良いと勘違いはしない方がよろしいかと思います。
意味深なフローダイアグラムにはほぼ触れてない点にも注目です...。(笑)
問3 C 社では、最近の材料価格高騰の影響が大きく、付加価値が高い製品を販売しているものの、収益性の低下が生じている。どのような対応策が必要なのか、120 字以内で述べよ。
【出題趣旨】
最近の材料価格高騰に対応するため、C 社の資材調達管理、在庫管理、製造工程管理の課題を整理し、その対応策について、助言する能力を問う問題である
【ひつじ再現答案】
生産計画、受発注、在庫、資材、進歩等情報と今までのレシピも整理しDB化システム化を行い、一元管理の下、こ客と社内でリアルタイムに共有し、商品小ロット化、適正な資材在庫管理を行い、廃棄納期遅延を予防し、効率性生産性を高め、収益性を向上させる。
この事例Ⅲ問3が、R52次試験におけるひつじの中での最難関でした。(事例Ⅳは除く。)
ダメなとこ探しまではいけるんですよ。食材の必要な量が分かるレシピがメモ程度とか、生産計画の作成方法とか、パートリーダーの経験値頼りとか、他人頼りで記録しない資材管理課とか、なんかダメなところはいっぱいあるんですが、じゃあどうするか、具体的な策が文章として全然思いつかない。
ダメなところ一杯だからこそ、どこから手をつけて、何をするか、もう大混乱。
なので回答したのは一番最後。そして冒頭に書いた「顧」パニックに繋がるわけです。
再現答案見てください。こっそり「こ」になってるでしょ!?(笑)
そんなわけで、対応策は超ウルトラ強引にDRINKフレームワークで枠を固め、効果や結果をお尻につける。しかも効率性、生産性、収益性全て盛り込んで、どれが来ても大丈夫。
「やっぱりイ○バ。100人乗っても大丈夫!」
イ○バ物置式解答で、どうにか切り抜けた次第であります。(切り抜けられたのかは知らんけど。)
ここで一つ2次試験の中でよく言われる「切り分け」について。
各問題の解答をキチンと切り分けて、それぞれの問いに対して、同じような解答を書かないようにする為の心構えみたいなもんだと、ひつじは解釈しておりました。
ただあくまで1事例内においてだと。
今回ひつじは事例ⅡでDRINK使っており、そんなにDRINKして良いものかと本番の時悩みました。
事例を跨いでも、切り分けるべきなのかと。
今思うと、これは勉強や情報や知識いう名の魔物にメダパニかけられてたと思います。
あの時の自分にアドバイスをするならば、
「いや、悩んで時間を消費するくらいなら書け」と。
その悩みに消費した時間が、最後の「顧」パニックを引き起こしたんだと。
確かに切り分けは大事。でもそれに翻弄されるのは本末転倒。
診断士2次試験のお作法部分で当日迷うなら、とにかく書けを私は推奨します。
但し勉強時点で、切り分け等偉大な先輩たちが作り上げた2次試験のお作法を意識をするのは大事なので、誤解のないようにお願いします。
問4 C社社長は受注量が低迷した数年前から、既存の販売先との関係を一層密接にするとともに、他のホテルや旅館への販路拡大を図るため、自社企画製品の製造販売を実現したいと思っていた。また、食品スーパーX社との新規事業でも総菜の商品企画が必要となっている。創業から受託品の製造に特化してきたC社は、どのように製品の企画開発を進めるべきなのか、120字以内で述べよ。
【出題趣旨】
自社企画製品の販売を実現するために、創業から受託品の製造に特化してきた C 社の製品企画開発の課題を整理し、そのために必要となる社内対応策について、助言する能力を問う問題である。
【ひつじ再現答案】
①外部人材の知識ノウハウの活用②今までのレシピを整理して活用③中食需要に対する季節性があり、高級感のある菓子やパンを多種少量生産し、顧客需要収集と希少性のある高付加価値商品とする④試食会の開催や販売先料理長との連携を図り、製品開発を進める。119文字
「中食」
与件文を読みながら、「中食って何!?」と思いました。
「X社店舗のバックヤードでの調理品の他に、中食需要に対応する総菜の商品企画を求めている。」
と与件分には書いてあります。
悩みに悩んで、ひつじが出した中食とは、
「食事の中ってことは、間のことだ。てことは、おやつの事だ!スイーツや!!だってほら、菓子製造課あるし。」
盛大な勘違いをやらかしております...。
「何を作るかは重要じゃないんだ。とにかく高付加価値商品を作るんだ。」
とセリフ調の文章で恥ずかしい間違いをした自分を慰めます。
先ほどの切り分けの部分においても、レシピ整理が2度目の登場をしており、激しい優勝争い中のクローザーのような存在となっております。
だからきっと切り分けなくても大丈夫!!(用法用量はどうぞお守りください。)
一つだけ自信があるとすれば、多種少量生産で顧客のニーズを探っていくという部分は、非常によろしかったのではないかなと思っております。(合ってるのかは知らんけど...。)
問5 食品スーパーX社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C社社長は現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。このC社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのように助言するか、140字以内で述べよ。
【出題趣旨】
工場増築などの設備投資によって生産体制を構築し、新規事業の生産に対応しようとする C 社社長の構想の妥当性とその理由、またその際の留意点について、助言する能力を問う問題である。
【ひつじ再現答案】
現状での専用設備の導入は妥当でない。理由は需要が不明確、新規採用困難であること、教育体制が弱く、現状の生産体制見直しが必要で、投資のリスクが高い為。留意点はX社との信頼関係継続の為、生産教育体制の見直しを行い、X社の受注に対応しつつ、需要把握を行い、必要時点での投資を行うこと。139文字
中小企業診断士2次試験の掟
「社長の想いには応える」
無論知っておりました。
しかし試験には魔物が住んでおります。
完全に想いに応えておりません。
ちゃんと掟は知ってたし、過去問を解く際には、掟を遵守しておりました。
しかし試験には魔物が住んでおります。(2度目)
いや、最初は妥当性ありで書こうと思いましたよ。ただ妥当な理由が全く思い浮かばず、妥当じゃない理由しか私には見つけられなかったんです。
「当初は客単価の高い数店舗から始め、10数店舗まで徐々に拡大したい考えである。」需要がめっちゃ不透明。
「専用設備を導入し。」需要も分からんのに専用設備って危険すぎない!?
「新規採用者を中心とした生産体制の構築」この売り手市場の中で簡単に新規採用ができる!?現時点で人足りてないんだし。更には教育は直接指導・監督って作業の標準化、マニュアル化も出来てないのに生産体制の構築なんて出来なくない!?
社長、流石にこれはあかん。危険すぎや。
でも妥当性なしで書いたら、掟に背くことになる。でもでも妥当性ありの理由が一向に浮かばない。
いや、もしかしたら、社長の思いに応えるという掟をぶち壊しにきているかもしれない。だって診断士は、時に厳しいことだって社長に伝えなければならないはず。それが出来る診断士を求めてきているんだ。そうだ、きっと新時代の幕開けなんだ。
本番で本当にそう思いました。ここまでの内容、大分フィクション入れてあるんですが、この妥当性無しを書くまでの心理状態はノンフィクションでお届けしております。
そんなわけで、妥当性無しの解答をしたわけです。
しかし結果は圧倒的少数派。
各予備校の解答やX上の受験生の解答は妥当性ありで溢れかえっておりました。
時折妥当性無しの解答をされた方を見かけると、「おお、同志よ。」と異常な親近感を抱いておりましたし、今でも抱いております。
ぜひ、妥当性無しの会を立ち上げて、新時代を切り拓いていければと思っております。
でもまあ最終的にはニーズとか色々と把握できた必要時点では投資してねと、胡麻粒程度社長の想いに応えようとしている、八方美人的な解答に仕立て上げている所に、小汚いひつじ感がほとばしっております。
まとめ
そんなわけで、長くなりましたがR5事例Ⅲの再現答案分析終了です。
今一度振り返ってみても、正直なんで71点も取れたのか分かりません。
ただ一つ分かったことは、問5のように、二者択一的な解答を求められた際、制約条件をキチンと守り、与件に沿った形で、採点者が納得できるような解答を書ければ、それほど大事故には至らないし、ちゃんと得点が入るのは間違いないと思います。
もし社長の想いに応えず、妥当性なしの解答を書き、大幅な得点のマイナスがあり、30点問題の問5の点数が低いとすれば、絶対に70点代の得点は取れないはずです。
なのでひつじのR5事例Ⅲの解答は、
①最悪漢字をひらがなで書いてもOK(なはず)
②二者択一はどちらでもOk(但し制約条件を守り、与件文の内容に沿っていれば)
「個(顧)を取り戻して、新時代を築け!」
という新たな掟を作り出した解答分析になりました。(笑)
さあ次は事例Ⅳ。事例Ⅳかー。振り返りたくなーい!!!