はじめに
みなさん、こんにちは。
ひつじです。
今回は私が実際に行った診断士2次試験の勉強方法について綴りたいと思います。
名付けて「ひつじメソッド」(笑)
ちなみに私はこの勉強方法で、
合計278点
という点数を取ることが出来ました。
勉強時間としては、正確には計っていませんが、120時間程度だと思います。
9月の合格発表後に勉強を始めていますが、実際本格的に手をつけたのは9月半ば頃。
それまでは情報収集等に時間を掛けてたので、その部分はこちらのブログを見ていただければ、少しは時間短縮になりますし、8月時点から勉強を始めれば、少し余裕を持って取り組めるかと思います。
今回の勉強方法はあくまで中小企業診断士2次試験の初学者向けの内容となっております。
なぜ初学者向けなのか。
それは初見問題の重要性を意識した勉強方法であり、既に2次試験を受験したことがあり、過去問を解いてしまった方にとっては、効果が少なくなる勉強方法となります。
そしてあくまで、効率重視の超短期間での勉強方法となりますので、
「1次試験は通ったけど、2次試験の勉強何もしてない...。」
という方向けです。
ただ考え方等に関しては、すでに2次試験を経験されている方にも、何かしら糧になるかもしれません。
私自身、1次試験の自己採点の結果、落ちたと思っており、8月中は試験から解放された喜びで、夏休みの子供達と遊び倒し(車とフェリーで北海道旅行等)、何も勉強しておりませんでした。
R5年9月5日の1次試験合格発表時、まさかの合格を果たしていた為、喜び束の間、2次試験どうしようと一気に不安になったのを覚えてます。
1次試験合格までのエピソードはこちら
診断士試験の勉強を始めたのがR5年1月からで、そこから1次試験実施の8月までは、1次試験の勉強しかしておらず、2次試験のことは、概要も含めて、ほとんど知らない状態でした。
「なんか4つ文章問題があって、それに筆記で答える試験。」
本当にこの程度しか知りませんでした。
実は後で出てくる2次試験教材、ふぞろい、30日完成、全知識は、1次試験合格発表後は一気に品薄になる等の噂があった為、Amazonやメルカリを駆使して7月末ぐらいに揃えておきました。ただ一切開くことなく保管状態でした。
そんな状態だった為、1次合格後からネットやX(旧Twitter)等にて情報を集め、少ない時間で、効率よく勉強して、2次試験の土俵に上がれるようにすることを目標とし、勉強方法と計画を立てました。
今年診断士の受験を始めた方や、2次試験が初めての方にとっては、
ある程度有益な情報になるように頑張って綴っていきたいと思います。
中小企業診断士2次筆記試験とは
まずおさらいですが、中小企業診断士となる為には以下の試験に合格する必要があります。
①1次試験 マークシート(7教科 財務・会計、企業経営理論、経済学・経済政策、経営法務、運営管理、経営情報システム、中小企業経営・政策)
②2次筆記試験(事例Ⅰ 組織・人事、事例Ⅱ マーケティング・流通 事例Ⅲ 生産・技術 事例Ⅳ 財務・会計)
③2次口述試験(2次筆記試験の内容から質問に答える)
2次口述はほぼ受かる試験とは言え、3回も試験及び合格発表があるって、本当取得までの道のりが長い&険しい中小企業診断士という資格。
(ちなみに全ての試験合格後、次は実務補習や実務従事といったイベントをこなして、ようやく登録となります...。)
今回は2次筆記試験についてですので、その部分を詳しく説明します。
まず試験日は1次合格発表から約2ヶ月後の10月末頃。
ちなみに令和6年の2次試験の実施日は
令和6年10月27日(日)
(1次試験合格発表は令和6年9月3日(火))
となります。
受験場所は、申込時に選択したエリア内の大学やどこかのホールにランダムで設定されます。
1次試験の時より、エリアの幅は狭くなります。
R5時は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の 7地区。
1次試験時にあった、那覇・金沢・四国の3地区での実施はありませんでした。
会場に行くだけで大変な方もいらっしゃると思います。
ちなみに私は東京エリアの大正大学で受けました。
1次試験の時は、前乗り2泊しましたが、その時に枕が変わって寝れず(弱メンタル)、1次試験1日目はフラフラの状態で行った思い出があるので、2次試験は自宅から直接行きました。
R5当日のスケジュールは以下の通りでした。
9:40-11:00 事例Ⅰ 組織•人事
11:40-13:00 事例Ⅱ マーケティング•流通
14:00-15:20 事例Ⅲ 生産•技術
16:00-17:20 事例Ⅳ 財務•会計
1事例80分1本勝負!
それが4回も続きます。
長いなぁと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、受けてみるとあっという間に終わります。
80分がまるで泡の様に溶けていきます。
80分という時間を、あんなに短く感じたのは後にも先にも診断士2次試験しかありません。
ドラゴンボールであった精神と時の部屋の逆パターンです。
そして事例Ⅲまでで既に疲れ切った脳に、更に追い討ちを掛かる事例Ⅳ。
まさに鬼畜の所業。
試験に対する知識や技術はもちろんですが、この過酷な1日を乗り越える脳のスタミナ、精神力、タイムマネジメント力が絶対に必要なので、覚えておいてください。
それも鍛えるメソッドも後で綴ります。
2次試験突破に必要な能力とは
1次試験に関しては、ひつじはほぼスタディングのみで勉強してました。
過去マス辺りも一応揃えては見ましたが、使用したのは財務会計と経済学のみ。
なので2次試験もスタディングでいけるかと思っておりましたので、もちろんスタディングの2次対策の動画を見ました。
しかし、スタディングの2次試験のロジックマップのメソッドは、正直私には合いませんでした。
それに元々診断士2次試験は、WEB学習との相性が悪いんだと思います。
1次試験のように、過去問や予想問題を周回して、覚えて、マークするのと、
2次試験のように、文章を読んで、理解して、その上で文章を書いて答えるのとでは、
そもそも勉強方法は異なります。
WEB学習の効率的なテンポ重視の勉強法は1次試験とは物凄い相性が良いですが、
いかんせんスルメを噛んで、味わいながらやらなければならないような2次試験の勉強とは、あまり相性が良くないんだと思います。
また世の中には、中小企業診断士試験2次試験用の教材や予備校が沢山あり、2次試験の解法やメソッドも沢山あります。
そして予備校などは、基本部分は共通であっても、枝葉の部分は、講師の方によって、教える内容やメソッドが違うかと思います。
実際聞いた話だと、同じ予備校内でも、講師によって、合格率が違うなんてこともあるようです。
それに2次試験終了後、色んな予備校から、解答が出されますが、内容は千差万別。
運営側からは出題趣旨のみ出されるだけで、明確な解答が出されない2次試験においては、
予備校の解答が実際に正解かも分からない。
なんなら、試験当日凄まじい緊張状態の中、あの長い与件文を初見で紐解き、80分という時間制限の中で解く受験生の解答と、予備校の手練れ講師の方々が、時間を掛けて書いた解答は、そもそも次元の違うものであり、予備校レベルの模範解答を目指すことが果たして勉強方法として正解なのかという疑念が私にはありました。
そしてその疑念は、試験終了後、登録前の実務補習の際の指導員の先生の言葉で確信に変わりました。
「あなた達はアカデミック過ぎる。中小企業の社長さんが理解して、すぐに動けるような言葉で伝えないとダメですよ。」と。
実務補習は、2次試験の与件文に書いてある内容を、ヒアリングして把握する事から始めます。
逆に2次試験は既に企業の現状が与件文に書いてあり、解答に必要な情報がほぼ与件文の中に隠れています。
しかし最終的なアウトプットは同じなんです。
中小企業の社長さんに、現状を理解してもらった上で、それを打開する為の施策を分かりやすく助言する。
1次試験の知識や2次試験の知識・メソッドは、それをする為の土台であって、何より本質を掴んで、分かりやすく伝えられる能力があるかを推し量られる試験が中小企業診断士2次試験だと思ってください。
巷に溢れる知識やメソッドに振り回されると、本質が見えない、分かりづらい文章の解答になり、結果点数が低くなるのではないかと思います。
そもそも1次試験に合格した方なら、その知識を基に、与件文にある会社の強みや、問題・課題の発見、そして取るべき戦略までは何となく分かると思います。
なので、どんな教材を使うにしても、予備校に通うにしても、
最終的に中小企業診断士2次試験におけるというか、自分が診断士として、中小企業の社長に、自社の強み、問題、課題、取るべき戦略・戦術等をどう分かりやすく伝えるのか、自分の型を作り上げる必要があるのではないかと思ってます。
実務補習を経験された方ならご理解頂けると思うのですが、2次試験をクリアしてないと、絶対に実務補習をクリア出来ないと思うんです。
実際に中小企業に赴き、直接経営者の話を聞き、課題分析を行い、それに対する戦略や戦術を書いて伝える。それを今までやったこともないだろう、人々が数人でチームを組んで、一つの経営診断報告書(およそ100ページ)をわずか10日程度で作り上げる。
最初は「そんなことできるわけない。」と思いましたが、診断士2次試験を通過した猛者同士だと、それが不思議とできるんです。
ちなみに診断士になる過程において、1次試験を突破した後、2次試験と実務補修の代わりに、養成課程を受けるというルートもありますが、最短6ヶ月、長いと2年間学校に通い、大変なカリキュラムをこなし、ようやく診断士として登録ができるわけです。
どちらかというと世間では、2次試験を免除するために養成過程に通うと言う考え方が多いですが、本来であれば養成過程という長く大変なカリキュラムを免除するために2次試験をクリアしなければならないと考えた方が自然な気がします。
現状取得後すぐに独立した身として思うことは、2次試験合格者は実務補習終了後、協会などに所属しながら、自分で繋がりを作り、道を切り開いていく必要があるのに対して、養成課程出身の方々は、長いカリキュラムの中で培った同期や先生などの繋がりもあり、有利なスタートダッシュが切れる可能性が高いと思います。
2次試験合格者は、当該試験を通過し、15日間の実務補習のみで診断士として登録され、診断士として活動することを許されてしまうわけであり、故に2次筆記試験時点で、他の診断士(採点者)を納得させる解答を書く必要があるんだと思います。
それは診断士となり、中小企業を支援する現場において、経営者に方向性や施策を腹落ちしてもらって、伴走支援を行うという活動に必要な素地が既に備わっているかということを試験を通して判断されているのではないかと思います。
これらのことを考えると、診断士の2次試験は、診断士の実践で必要となる、本質を見抜く力、課題分析・解決能力、文章力、コミュニケーション能力(口述試験)等を試されるものであり、故に確固たる正解は設けることができないという事が分かるかとおもいます。
それでも試験である以上、点数はつけなければならず、それゆえの「キーワード」というものが与件文に散りばめられており、それをどう料理して、美味しいと言ってもらえるかとなります。
そしてこれらの能力は人それぞれ、千差万別である為、それをキチンと他者に文章として伝える為の、「自分の型」を作る必要があると考えます。
自分だけが持つ日本刀を研いで、鋭く切れ味の良いものに育てていくイメージと言えば分かりやすいかもしれませんし、実際に診断士となり、他の診断士の方々と繋がってみると、それぞれ素晴らしい刀(個性)を持っていることが分かります。
ではそのような「自分の型」を何を使って手に入れるか。
次は私の使った2次試験の教材を紹介します。
2次試験の教材について
2次試験の教材は色々なものがあり、どれを使えば良いか分からないと思います。
人によって合う合わないというのもあるかもしれません。
また既に持っているものがあればそれを活用して頂いても良いかと思います。
あくまで、私ひつじが使ったものを紹介致します。
基礎勉強用教材
中小企業診断士二次試験 2次試験合格者の頭の中にあった全知識
中小企業診断士二次試験 二次試験合格者の頭の中にあった全ノウハウ
上記2冊にて、診断士2次試験に必要な知識や技術を習得します。
過去問採点用教材
中小企業診断士2次試験 ふぞろいな合格答案
診断士2次試験受験生のバイブル「ふぞろい」。
正解がないと言われる2次試験において、過去問演習時にキーワード採点するために必要です。
予備校各社においても、模範解答的なものはインターネットで入手できますが、
文章の構成等それぞれ特色があり、それを踏まえての過去問の自己採点は間違いなく不可能です。
合格者、不合格者を含めたデータを元に構成され、与件文のキーワードに点数を付与し、それを基に自己採点ができる仕様になっています。
内容が会話形式になっており、その部分においては賛否両論ありますが、与件文において、何を見るべきか、どう考えるべきかを理解するには、個人的にとても分かりやすいと思います。
1冊につき、1年分(合格答案)又は2年分(答案分析)の過去問に対する解析が載っており、それ以外にデーターブックなるものもあります。
可能であれば、最低10年分の過去問をキーワード採点できるよう、それに合わせたふぞろいを準備していただく事を推奨します。
2024年8月現時点であれば、
上記ふぞろい17(2024)と共に
ふぞろいな答案分析 7(2023−2022)
ふぞろいな答案分析 6(2021−2020)
ふぞろいな答案分析 5(2019−2018)
ふぞろいな答案分析 4(2017−2016)
ふぞろいな答案分析 3(2015−2014)
ここまで揃えると、10年分をカバーできる形になります。
同じようで微妙に名前が違いますので、注意してください。
最新版が「ふぞろいな合格答案」で過去問1年分(最新版発売が大体7月頃)
それ以前のものが「ふぞろいな再現答案」で過去問2年分(最新版発売が大体3〜5月頃発売)
となります。
古いものの方が手に入りずらく、2次試験に近くなればなるほど品薄となり、
下手するとメルカリ等でプレ値で取引されているくらいなので、入手方法には注意しましょう!
ちなみに現時点での最新版ふぞろい合格答案17には、私ひつじの再現答案がなんと3つも掲載されております!
(軽く自慢!!!)
事例Ⅳ対策用教材
中小企業診断士2次試験 30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集
事例Ⅳで出題される経営分析やCVP、NPVの解き方の基礎を30日間で完成できる効率的な問題集となっています。
ただ個人的にはあくまで基礎的であり、これができれば事例Ⅳは大丈夫とは全く言えません。
そして書籍ではありませんが、診断士界隈の神様、サンさんが創造された
『事例Ⅳが好きになる 攻略マスターガイド』
https://smri.official.ec/items/77834617
私が受けた昨年度には上記マスターガイドしかありませんでしたが、
現在では
『事例Ⅳが好きになる 過去問マスターガイド』
https://smri.official.ec/items/85395282
なるものも発売されております。
ふぞろいにも事例Ⅳの解答は載っておりますが、各問題や解答の解説においては、とても頼りないので、
この過去問マスターガイドがあれば、便利かもしれません。
なんとサン神様、昨今ではYouTubeでの事例Ⅳ等の解説も行なっており、
事例Ⅳマスターガイド
https://www.youtube.com/@user-xf7gf5wv6o
サン神さまが受験生の得点を底上げしているせいで、年々事例Ⅳが難しくなっているのではないかと疑うくらい充実したコンテンツに仕上がっております!
その他教材
またこちらも診断士界隈では有名な教材
まとめシートの2次試験対策
「まとめシート」流!ゼロから始める2次対策: 中小企業診断士2次試験対策
も2次試験の概略や解法を理解するには良いかと思います。
そもそも1次試験にまとめシートを使って勉強していた方にとっては、
野網流派としてマスト教材かもしれません。
以上2次試験用教材を列挙してきましたが、
基本的には
・全知識
・全ノウハウ
・ふぞろい10年分
・30日完成
・マスターガイド
の5つの教材があれば、ある程度戦える状態になれるかと思います。
必要物品について
教材以外に準備するものとしては、
・過去問問題用紙と解答用紙
昨今Ipad等で勉強する方も多いですが、私は全て紙に印刷して解いていました。
限りなく本番に近い状態で過去問演習を行うためです。
問題要旨と解答用紙は、AAS様よりダウンロードさせて頂きました。
https://www.aas-clover.com/testinfo/download-2
印刷をする場合、私はA4用紙にプリントしていましたが、実際本番の問題用紙のサイズはB5になりますので、
その点ご注意ください。
実際の紙に書いたり、消したりすることは、思っているより時間が掛かります。
また一度解答を書いた後で修正する時に、消しゴムで消すという行為が、この試験においてはとても難しいです。
必ず一度は紙に書くということを経験しておくことをお勧めいたします。
・鉛筆またはシャーペン
解答を書く筆記用具となりますが、普段書き慣れたもので良いかと思います。
書いた字を見やすくする為、細いシャーペンの芯が良いとかクルトガなど常に尖った形を維持できるシャーペンが良いとか、色んなご意見がありますが、私は最終的にオールドスタイルの鉛筆に落ち着きました。
元々私は筆圧が強く、シャーペンだとポキポキ折れてしまい、スピードが必要な2次試験において、それがとてもストレスだったので、5本の鉛筆を用意していました。
・消しゴム
かなり重要なアイテムです。解答を書き直す際に、消しゴムで消しますが、余計なところまで消したり、解答用紙が黒くなってしまうなどのリスクが生じる為、細かく消せて、よく消える消しゴムを使いましょう。私はペンタイプのものと、普通の消しゴムですが、角が丸くない新品の消しゴムを惜しみなく投入しておりました。
・電卓
1次試験では持ち込み不可ですが、2次試験だと事例Ⅳ対策の為、持込必須です。
但し機能に制限があったりしますので、注意が必要です。
ボタンが押しやすく、押し間違いの少ないものを選びましょう。
私はシャープやカシオが有名で、どちらを購入するか迷いましたが、結果的にはシャープ製のこちら
シャープ(SHARP) 実務電卓 ナイスサイズタイプ EL-N942X
と予備用に無印良品の電卓
を使用していました。
また電卓の正しい使い方(メモリー機能等)をマスターした方が、事例Ⅳの対策としては良いかと思います。
ちなみにサン神様のマスターガイドは、電卓の使い方までコンテンツの中に含まれております。
・蛍光ペン
これは与件文のキーワードを強み、弱み、機会、脅威等SWOTで振り分けたりする際に蛍光ペンを使うと分かりやすいので、使っている方が多いです。
私も最初4色蛍光ペンセットを購入し、過去問演習時に使ってましたが、結果的に本番では、赤ペンを使ってました。
理由としては、ペンの種類が多ければ多いほど、持ち変える頻度が多くなり、煩わしさと共に、時間の消費も多くなる為です。
・定規
定規に関しては、通常の定規の使い方はしません。与件文にラインを引くときに使うという想像をされた方もいるかもしれませんが、80分という短い時間の中で、とてもそんな丁寧な対応はできません。2次試験における定規の使い方は、メモ用紙を手にいれる為という独特の使い方をします。
どうゆうことかと言いますと、特に事例Ⅳに関しては、計算をする際に、メモ用紙が必要になります。問題用紙に空白部分もあるので、それで対応できれば良いのですが、いちいちページをめくって、問題見て、メモしてという時間がとてもモッタイナイんです。
そして歴代の2次受験生の先輩たちが編み出した方法が、問題用紙からメモ用紙を作り出すという方法です。
これには2通りのやり方があり、一つは問題用紙をまとめてあるホッチキスの針を外して、問題用紙をバラし、空白ページを抜き出してメモ用紙とする方法。この方法はとても綺麗にメモ用紙を抜き出すことができますが、ホッチキスの針を外す手間と、問題用紙がバラバラになってしまうという問題が発生します。
そしてもう一つが、定規を当てがい、空白ページを破いて、メモ用紙とする方法があります。
試験開始と共に、周囲からビリビリと紙を破る音が聞こえるという、診断士2次試験の名物風景です。
どちらの方法を選択するにしても、メモ用紙は必ずあった方が良いので、要対策しておいてください。
ちなみに私は定規で綺麗に紙を破る方法を練習しました!(笑)
ひつじメソッド1〜基礎学習〜
それでは実際の勉強方法について綴っていきます。
まずは基礎学習についてです。
2次試験における基礎学習とは何か。
これはいわゆるお作法というやつです。
どんな問題が出て、どんな論点を踏まえて、どんな解答を書くのか。
2次試験のやり方、書き方、解法、技術的な部分の勉強です。
1次試験だと、マークシートによる選択なので、いきなり過去問を解いて、それを繰り返していく勉強方法も有効ですが、2次試験においては文章による解答の作成が必要な為、まずは解答の作り方を学ぶ必要があります。
そこで、まずは教材紹介で挙げた
中小企業診断士二次試験 2次試験合格者の頭の中にあった全知識
中小企業診断士二次試験 二次試験合格者の頭の中にあった全ノウハウ
上記2冊を読んでください。
基本的には2回読む。
1回目はスピード重視流し見で大丈夫ですが、
「こんな問題出るんだな。」「こんな論点が問われるんだな。」「こんな書き方が必要なんだな。」
という2次試験の大枠部分を掴むようにしてください。
そして2回目では、少し時間を掛けて熟読してください。
各事例ごとの論点やフレームワークの部分をできるだけ覚えるようにしてください。
ただあまり時間をかけて、完璧に覚える必要はないと思います。
既に1次試験の勉強で、ある程度の知識はついていると思いますので、復習的な感じになりますし、後で過去問演習をしながら、もう一度部分ごとに見ていく形になるからです。
早く過去問を解いてみたくなる気持ちはとても分かるのですが、中途半端に手を出すと、せっかくの初見問題を失うと共に、得られる知識や経験値が多くない状態となります。
過去問を1回でも解いてしまうと、企業の概要や問題、課題が何となく分かってしまい、どのキーワードを選ぶべきかも覚えてしまいます。単調な問題を解くのとは違うので、インパクトが残りやすく、どうしても頭に入ってしまうんです。
その状態でもう一度解いても、文章構成等自分の型を作る練習にはなりますが、初見問題に対応する勉強にはならないんです。
正直ここが診断士2次試験の勉強として一番難しい点だと思います。
なので、まずは基礎を固めておき、その上で初見問題を連続して浴び続けることが、後々の成長に繋がり、効率的な勉強になると思います。
焦る気持ちを少し抑えて、最初は全知識と全ノウハウと向き合ってください。
そして更に並行して、事例Ⅳ対策を行います。
中小企業診断士2次試験 30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集
事例Ⅳが好きになる 過去問マスターガイド
上記2つの教材をとにかく周回します。
これは以下に続くメソッド中もずっと継続します。
最初は全く歯が立たない方も多いかと思います。私も全く歯が立ちませんでした。
ただ経営分析については、マスターガイドの解法を習得すれば、できるようになりますし、CVPとNPVも2周目くらいから、基本的な部分は何となく分かるようになってきます。
ただNPVに関しては、年々厄介な問題になっており、本試験の正答率もそこまで高くありません。
ここは戦略的な部分になりますが、財務会計が得意な方に関しては、CVP、NPVを完璧にして、できる限り事例Ⅳで得点を稼ぐ方法もありますし、苦手な方は、無理をする必要はそんなにないんじゃないかと思います。
事例Ⅳを制すものは2次試験を制す
と言われていますが、私は超絶苦手な為、事例Ⅳの足切りをまず回避することを目標にしてました。
R5本試験においても、CVP、NPVの計算問題は、ほぼ全滅していますが、57点取れてますので、経営分析とポエムをとにかくもらさずに答え切ることが大切だと感じています。
ひつじメソッド2〜過去問演習1 縦で解く〜
上記メソッド1が終わったら、過去問演習をやっていきます。
そのやり方ですが、まず10年分の古い方から5年分を、各事例ごと縦で解いていきます。
事例Ⅰを古い方から5年分、事例Ⅱを古い方から5年分という感じです。
これをやると、各事例において、どんな問題が出てくるか、どう対応するか等、傾向と対策が掴めてきます。
また全知識、全ノウハウも、その都度振り返りで見ます。これをすることにより、各事例に必要な論点やフレームワークが身に付いて、実際に使えるようになってきます。
2次試験の基礎学力をつけるためには、各事例をバラバラでやるより、まとめてやった方が絶対に事例毎の対応力が付きます。
最初は思うように解答が書けないと思いますが、事例をこなす毎に不思議と書けるようになっていきます。
自分の型が少しづつ固まってきます。
また基本的には80分という試験時間についても本番と同様に守ってください。
2次試験におけるタイムマネジメントの訓練も並行して行います。
そして採点と振り返りに関しては、試験時間と同じかそれ以上時間を掛けてください。
・解答に必要なキーワード抽出ができているか
・解答が分かりやすい文章になっているか
ふぞろいの解答と見比べて、解答の方向性が一致しているかを確認しましょう。
ひつじメソッド3〜過去問演習2 横で解く〜
メソッド2までで、2次試験に必要な基礎学力は育っていると思います。
メソッド3では本番を想定した演習を行います。
最新5年分の事例Ⅰ〜Ⅳを順番通りに解いていきます。
そしてこれは非常に難しいかと思いますが、できれば事例Ⅰ〜Ⅳまで通しでやってください。
単純計算で、80分×4事例=320分=5時間20分掛かりますが、やる価値は十分にあります。
採点は翌日とか別日で構いません。
これは勉強と共に、当日を想定した訓練で、最初の方に書いた
脳のスタミナ、精神力、タイムマネジメント力
辺りを鍛える為です。
相当キツイし、疲れます。
時間も掛かります。
でも本番は恐ろしいことに、更に1.5〜2倍はキツイし、疲れます。
私は本番前1週間で最新5年分を横通しでやりました。
3年目くらいの時は、本当に泣きそうになりながら、問題を解きました。
ただ5年目が終わった時、全ての事例で初めて60点以上(ふぞろいキーワード自己採点ですが)を取れたし、
そのキツイ勉強というか訓練というかをやり遂げ、自信が出来、当日もやり切ることができたと思っています。
お仕事も忙しいし、中々そんな時間を捻出できないという方も多いかと思いますが、せめて1回は1日で事例Ⅰ〜Ⅳを横通しで解いてみて頂ければと思います。
ふぞろいの採点方法について
過去問の演習において、採点はふぞろいで行いますが、最初中々上手くできないかもしれません。
私も最初どうやってやれば良いのか非常に悩みました。
ふぞろいの解答と自分の解答の文章的な一致性を確認しようとしていたんだと思います。
基本的にはキーワード採点ではありますので、まずは解答にふぞろい選出のキーワードが入っているか、入っていればそのキーワード毎の点数を足します。その点数の総和が解答の点数となります。但し同じジャンルのキーワードの点数上限は決まっているので、点数を嵩上げしないように注意してください。
そしてその点数がそのまま計上されればいいのですが、それだとキーワード抽出試験になってしまいます。
この試験の解答には、読み手が居ますので、そこをキチンと認識した上で解答を行う必要があります。
すなわち、
解答の文章が読み手にとってキチンと分かるものになっているか、
ふぞろいの模範解答と自分の解答の方向性が同じか
上記2点の視点も確認します。
そしてこの2点が自己採点をする上で、とても難しい部分になります。
読み手に文章が分かる、分からないについては、書き手側の自身からすれば、書いた本人なので、分かるになってしまうことが多々あり、それが書けてるつもり、解けてるつもりに繋がってしまうのかと思います。
なので、可能であれば、自分以外の誰かに採点してもらえればベストなのですが、採点自体が診断士試験に関与したことがある方でないと難しいと思うので、解答を読んでもらって、文章として意味が通じるかどうかだけでも、身内の方に確認してもらうと良いかもしれません。
私は全てではないですが、自信の無いものや自分で気になった解答に関しては、妻に見てもらいました。
時折X(旧Twitter)等で、受験生同士や合格者が採点してくれる素晴らしい取り組みをされている方々がいらっしゃるので、ぜひ積極的に関わってみてください。
ここまで読んでくれた方で、もし私の勉強方法に共感を少しでも頂けた方であれば、
X(旧Twitter)上で私をフォロー頂き、DMを頂ければ、R5の事例Ⅰ〜Ⅲであれば私の方で採点致します。(人数次第ですが....。)
事例Ⅳは無理です。責任持てません。(笑)
まあ事例Ⅳは自己採点でもほぼ大丈夫かと思います。
解き方のコツについて
2次試験の解き方については、自分の型を作ることが大事なので、勉強方法は書いてきましたが、具体的な解き方については敢えて書かない形にしようと思ってます。ただ私のやり方でちょっとしたコツみたいなものだけは書いておきます。
まず実際の解き方についてですが、
私はまず与件文の頭部分を読みます。
最初から与件を全て読む人、設問から読む人、色んな人がおられますし、これに関しては正解不正解なく、それぞれのやりやすい方法が良いと思ってます。
私はまず与件文の頭を読んで、
どんな企業の話なのか、大外枠部分を掴みます。
その上で、設問を読んで、何を問われているのか、どんなキーワードを探せば良いのかを把握し、そこから与件文を読みながら、気になったキーワードに赤ペンでチェックをつけていきます。
またこれは絶対必要だというキーワードは、その単語を赤字で書きました。解答に絶対に使えという自分自身への命令を兼ねて。
キーワードについては、基本SWOT(強み、弱み、機会、脅威)や3C分析(顧客、競合、自社)の部分と、登場人物の中で、特有のスキルを持った人物はチェックしておきましょう。
事例の問1辺りで、強みや弱みを答えさせられますし、3C分析もそのまま答えさせられる問題もあります。また基本的に助言問題に関しても、その会社の強みを活かした解答を組み立てていくことが多いですし、すでに社内に居る人材だったり、事業承継辺りだと、「IT会社での勤務経験のある長男」みたいな登場人物が出てきて、その方々を活用するのが鉄板なので、怪しい人物は要チェックです!(笑)
時折与件文には無いけど、1次試験の範囲にはある知識を使って答える問題が出てきますが(R5で言えば事例Ⅱのサブスクとか)、基本は与件文の中に答えはあると思いますので、自分の経験や発想は押し殺して、聞かれた事に素直に答える解答を心掛けましょう。いわゆるポエム解答は、実際の施策としていくら優れたものだとしても、キーワードで採点するという試験の特性上、得点には残念ながら繋がりません。
聞かれたことに答える
とにかくこれを意識です。だからこそ設問解釈やレイヤーが大事ととても多くの先輩たちが言われています。
設問解釈やレイヤーと言われると、何だかとても難しいと思ってしまいますが、物凄くシンプルに考えるなら、
「何を聞かれているか」
を理解するだけです。
2次試験の設問は、いろんな問われ方をします。強みと弱みを答えるのはそのままストレートに答えれば良いのですが、それすらも「統合前の」とか時制と言われる制限があったり、「留意点を述べよ」「助言せよ」みたいに、私たち受験生に対しての問いかけ方が結構ややこしいんです。
なのでどうゆう聞かれ方をするのかということと、それに対してどう答えるのかと言う点について、過去問演習を通して、理解しておく必要があります。
また特に助言問題に関しては、助言した後の効果や結果についても、必ず書きましょう。
「御社の強みを活かして、こうゆうことをすると、結果こうなるよ。」
という文章にするということです。
実際に診断士として中小企業の社長に助言をする場合、「これをやってください。あれをやってください。」とやることばかり言われたら、社長げんなりです。
「御社の強みは〇〇なので、それを活かして、〇〇をすると、お客さんが増えて、売上が上がりますから、ぜひやっていきましょう!」
というイメージです。
ただ解答は会話風には書けないので、端的な文章に変換して解答するわけです。
そして効果や結果については、例えば「売上向上」とか「愛顧向上」とか出来るだけ短く書く方法が全知識やふぞろいに記してあります。
それらのボキャブラリーを可能な限り増やしておくと良いかと思います。
あとこれも良く言われますが、できる限り多面的な解答にしましょう。
キーワードに点数が振ってある以上、できる限り解答に必要なキーワードを入れながら、多面的論理的な解答を組み上げることが、ローリスク、ハイリターンの解答になります。
そしてできる限り問われた内容に寄り添いながら、言葉はシンプルに、分かりやすくする必要があります。
例えば
「吾輩は猫である。名前はまだない。」
「私は猫。名前はまだつけてもらっていない。」
文章は違いますが、同じ意味です。
であれば
「私は猫。名前はまだない。」
同じ意味でもできる限り文章は短くする事により、他のキーワード等を解答に盛り込めれるようになります。
また文字数指定に対しては、できる限り上限一杯での解答を作りましょう。
80〜120文字前後で答えさせられることが多い2次試験ですが、解答の文字数が例えば100文字であれば、100文字で答える模範解答があることは絶対であり、文字数を超えるようなら、余計な記述があるし、文字数が足りていないなら、解答に対して何かしらが足りていないのは明白なはずです。なので私は実際できる限り指定文字数ピッタリに近い解答作成を心掛けていましたし、文字数ピッタリ賞でもあるのではという風に思うほど、指定文字数に近い解答は高得点でした。
解答の書き方については、色々なスタイルがあるかと思いますが、私はいきなり解答用紙に書くスタイルです。
下書きできれば良いのですが、時間がもったいないのと、マス目に書かないと、解答が何文字かを数える作業が必要になります。
なので、解答に必要なキーワードを頭の中で整理した上で、一気に書き上げてました。
ただこのスタイルは上手くいけば時間短縮になりますが、上手くいかないと修正の嵐になったり、文字数が多かったり、少なかったりする諸刃の剣でもあるので、要注意です。
余裕があれば、下書きをして、内容と文字数を確認して、解答欄に記入する方が間違いはないかと思いますし、後で再現答案を作る際にとても楽になります。
再現答案に関しては、私は可能であれば作ってみたほうが良いかと思います。
試験が終わった後に、もう一度掘り起こすのは結構大変なのですが、各予備校の採点サービスを利用したり、X(旧ツイッター)等で他の方の再現答案と見比べてみたり、後々ふぞろいへ提出して、自分の解答が本に載るという貴重な体験を経験できるかもしれません。
2次試験終了後から合格発表まで、結構時間がありますので、その際の時間を再現答案があると有意義に過ごすことができると思います。
そして最終的には各事例毎に一貫性のある解答を作成するイメージを持つと良いかと思います。
解答用紙一枚がその企業の経営診断報告書の要約になってるようなイメージと言ったら良いかもしれません。
現状分析して、課題見つけて、社長が分かりやすく、腹落ちしやすい、そしてすぐ行動出来るような報告書の要約が一枚にまとまってる感じです。
これは直接的な点数にはならないかもしれませんが、そもそもの方向性が合っているかの確認になりますし、各設問の解答のズレを少なくする事に繋がります。
問1で分析して、その材料も使わずに、以降の設問で助言したら、思いつき、行き当たりばったりで発言する診断士になってしまいます。
身体の具合が悪い時に病院に行ったら、まずは問診して、必要なら検査して、診断として病名をハッキリさせた後に、病気と各々の身体の状態に合わせた的確な治療方法を提案し、患者さんの同意を持って、治療するという流れを考えると分かりやすいかもしれません。
行き当たりばったりに治療されたら、治るもんも治らないですよね。
最後に
以上でひつじ流2次試験勉強法「ひつじメソッド」の伝授は終了となります。
多分書ききれていないことが多くあると思いますので、
何か思い出したり、思いついたりしたら、こっそり追加しておきます。(笑)
最後に非常に定性的且つ抽象的なアドバイスになりますが、
事例を読む中で、頭の中でどのような会社か、どのような人々がそこで働いているのか、
その会社が、働いている人が、今後どうやっていけばより良い人生を歩めるようになるか、
試験とはいえ、基本実在企業を基に事例も作られているようなので、与えられた情報の中で、できる限りその企業に寄り添って解答を書くことが大事だと思います。
1次試験合格から約1ヶ月半という短い時間の中で、右も左もわからず、最初は勉強してても手応えもなく、結構辛い時間を過ごしていましたが、ある時ふと上記のような考え方を思い付いた瞬間から、2次試験の勉強が楽しくなり、解答もスラスラと書けるようになりました。
多分これが私にとっての2次試験でよく言う「開眼」だったのかも知れません。
企業(与件文)に寄り添い、想いを込めて書いた文章は、必ず読み手(採点者)に伝わると、私は今でもそう思います。
20%を下回る合格率の相対試験において、そして採点者が機械ではなく、人(診断士)であるという点においても、結構大事な考え方だと思います。
明確な採点方法はもちろん分かりませんが、
同じキーワードが羅列してある同じような5つの解答から、1つを選択しなければならない。
採点者の立場になって、もしそのような状況になったなら、その1つをどう選ぶのか。
非常に定性的、抽象的なアドバイスにはなりますが、診断士2次受験生の何かの糧になれば幸いです。
最後にまとめです。
・自分の型を作ること
・必要なキーワードは与件文の中にほぼあること
・読み手(採点者)に分かりやすい、多面的な解答を汲み上げること
長々書いてきましたが、言いたいことはこの3つです。
2次試験までの時間はあっという間に過ぎ去っていきます。
ですが、効率良く勉強すれば、まだまだ全然間に合います。
皆様の2次試験突破を祈念しております。